仕事のできない人の特徴とは? 経営者・管理職が見るべき8つのポイント

仕事は「能力」より「行動」に表れる
「仕事のできない人」と聞くと、多くの人は「能力が低い人」をイメージするかもしれません。
しかし、私がさまざまな社員を見てきた経験から言えば、仕事のできる・できないは、必ずしも能力だけで決まるものではありません。
高い専門知識を持っていても、周囲との連携が取れず成果につながらない人もいます。一方で、特別な才能があるわけではなくても、周囲から信頼され、着実に成果を上げる人もいます。
この違いはどこにあるのでしょうか。
人を評価するとき、「能力」そのものを見ることはできません。
しかし、その人が日々どのように仕事を進めているかという「行動」は見ることができます。
例えば、同じミスを繰り返す人、報告や相談が遅い人、言われるまで動かない人、期限を守れない人。
こうした行動は偶然ではなく、その人の仕事への向き合い方や思考パターンが表れた結果です。
もちろん、行動だけを見て「能力が低い」と判断することはできません。
体調や経験不足、職場環境など、一時的な要因が影響していることもあります。
それでも、成果を出し続ける人と、なかなか成果につながらない人には、繰り返し現れる行動パターンがあることに気づきます。
経営者や管理職が見るべきなのは、「日々どのような行動を取っているか」です。
本記事では、職場でよく見られる「仕事のできない人」の特徴を取り上げながら、その行動から何を読み取るべきなのかを考えていきます。
行動の背景を理解し、人を適切に育成・配置・評価するための視点として、読み進めていただければ幸いです。
仕事のできない人によく見られる8つの特徴
ここからは、職場でよく見られる「仕事のできない人」の特徴を紹介します。
ここで挙げる特徴は、その人を批判したり、能力を決めつけたりするためのものではありません。
同じ行動であっても、その背景にある原因は人によって異なります。
重要なのは、「このような行動が見られたとき、経営者や管理職は何を読み取るべきか」という視点です。
① 同じミスを何度も繰り返す
報告書の誤字脱字、数字の入力ミス、アポの時間を忘れる、資料の確認漏れなどを繰り返すことです。
ヒューマン・エラーは誰にでもあるものです。
問題は、同じミスを繰り返してしまうところにあります。
これには、いくつか原因があります。
もし、ミスを繰り返しても反省が見られないのであれば、改善の意思が薄い可能性があります。
このタイプは、「ミスするのは仕方ない」「他の仕事が忙しい」というように、自分に都合のいい言い訳をすることで、改善を後回しにしている可能性があります。
大切なのは、速やかに本人に注意することです。本人の中で、改善の優先順位が上がらなければ、改善は進まないでしょう。
一方、いつもあわてていて時々ポカをする、真面目で仕事熱心だが、何か頭から抜けて落ちているタイプは、原因として、業務に慣れておらず、余裕がない状態であることが考えられます。
このタイプは、仕事に習熟し落ち着いてくると、徐々にミスがなくなります。
仕事の習熟への速さは、人によって違います。
ミスを注意することも大切ですが、他の担当業務も含めて、うまく進んでいるか確認することが大切です。
② 報告・連絡・相談が遅い
報連相が遅い人は、「失敗を恐れる」「完璧にしてから伝えたい」「上司の様子を伺い過ぎている」といった原因が考えられます。
問題が起きても相談せず、一人で抱え込んでしまうタイプに多く見られます。
本人は責任感から何とかしようとしている場合もありますが、結果として問題を大きくし、組織全体に影響を与えてしまうことも少なくありません。
このタイプは、「上司や周囲の人に相談する」「仕事を抱えることで、周りに迷惑をかけることがある」という認識が不足しています。
本人の仕事の能力や進め方に問題があることもありますが、報告しにくい職場に問題があることもあります。
本人とよく話すことで、何が報連相を妨げているかを見極めることが大切です。
③ 指示されるまで動かない
言われたことはきちんとやるものの、自分から動こうとしない人もいます。いわゆる指示待ち人間です。
このタイプは、受け身の姿勢や責任回避、主体性の欠如などの行動特性があります。
仕事は、すべてを指示されて進めるものではありません。
しかし、このタイプは「自らの判断で動くと、失敗した時責任を問われる」「上司に言われたことを実行することが自分の仕事」という考えが強く、保身に走る傾向があります。
このタイプがいると、周囲の業務負荷が増え、チーム全体の生産性に影響します。
信頼関係を構築すれば、指示待ち人間は改善できると言われることもありますが、私は、自身の保身のために指示待ちをしている人が改善できる可能性は、高くないと思います。
管理職としては、信頼構築を図りつつも、仕事の任せ方を見直したり、自分の上司、経営層、人事部等と状況認識をすり合わせておくことも重要だと思います。
④ 優先順位を付けられない
いつも忙しそうなのに、思ったような成果が出ない人がいます。
このタイプは、一つの仕事を最後までやり切る習慣が身についていないため、別の業務が現れると、今手がけている業務を終わらせずに、新しい業務に取り掛かることになります。
重要な仕事から取り組む習慣が身についていないと、忙しさだけが積み重なってしまいます。
このタイプは、仕事のプロセスが改善されない限り、放っておいても成果が出ません。
定期的に、仕事の進捗や現在の取組事項を報告させることで、仕事に優先順位がつけられているか、任せた仕事が滞りなく進んでいるかを確認することが大切です。
⑤ 約束や期限を守れない
納期に遅れる、約束したことを忘れる。
このような行動は、能力以上に信頼を損ないます。
これが度重なる場合、重要な仕事を任せることはできません。期限を守ることは、仕事の基本です。
管理職であれば、本人に注意することは、もちろん必要です。
しかし、相手が約束を守ろうとしない場合、信頼関係の構築は難しいと考えざるを得ません。
一方で、今まで勤務態度に特に問題のなかった人が、急におかしくなるということもあります。
その場合、本人と面談をするなどして、事情を確認する必要があります。
⑥ 周囲との関係をこじらせる
このタイプは、仕事ができないというより、人並み、あるいは、それ以上に仕事をこなす能力があることもあります。
しかし、当人の言動や心構えが、周囲との関係を難しくします。
当人への指導で状況が改善することもありますが、根本的な解決に至らないケースも少なくありません。
上司としてできることは、その人に適切な役割を与えるなどして、チームの一員として働ける環境を整えることです。
ただ、上司ができることはここまでです。
何をやっても、本人が周囲との関係が築けなかったり、周囲との関係がどうしても改善しないこともあります。
この場合、誰も解決できず、管理職や周囲の人間だけが消耗することもよくあります。
管理職の立場であれば、一人で抱え込まず、自分の上司、経営層、人事部等に状況を理解してもらうことが必要です。
⑦ 言い訳が多い
何か指摘されるたびに、理由や事情を説明する人がいます。
時には、弁が立つ、話がうまいなど、実態と異なり、前向きに評価されていることもあります。
このタイプは、改善よりも自己防衛を優先しようとします。
実績を伴っているのであれば問題になりにくいですが、実績が出ていない場合、周囲のモチベーションを下げる可能性があります。
このタイプは、仕事で成果を積み重ね、自信をつけることで改善する人もいます。
一方で、言い訳ばかりを繰り返し、改善しようとしない人もいます。
上司が言い訳に惑わされると、迷惑を被っている他の社員の士気が下がります。
しつこく言い訳するようであれば、本人に注意することが必要です。
また、改善が見られない場合、人事や上層部との連携も必要です。
「あの課長は、私の話を聞いてくれない」と言われる可能性もあるからです。
⑧ 振り返りをしない
経験年数を重ねても成長する人と、何年経っても、成長が感じられない人がいます。
仕事に慣れないうちは、誰でも、ミスや失敗はつきものです。振り返りを行うことで、失敗を成長の糧にすることができます。
その違いは、応用力の差に現れます。不測の事態が起こった時、成長している人は、異常に気付き、状況を判断して、適切な対応を取ろうとします。
成長しない人は、異常に気付かないか、もし気づいたとしても、知らないふりをします。
振り返りをしない人は、プライドが高く、自分のミスを受け入れられない、あるいは、深く物事を考えないタイプと考えられます。
ミスや失敗は、その都度、注意することが大切です。しかし、そこから何を学ぶかは、本人次第です。
日常の「振り返り」は、必ずしも目に見える行動ではありません。しかし、「振り返り」の積み重ねが、年数を重ねると、大きな違いとなって現れます。
最近、失敗しても怒られることのない、緩い職場が増えている印象があります。
しかし、これまで日本を支えてきた力は、現場の改善力によりところが大きいと思います。
現場の管理職に大切なことは、ミスや失敗を看過しないことです。
また、人事異動や評価を行う際、時間をかけて培われた経験や能力の差を考慮に入れるべきです。
仕事ができる人とは「信頼される人」である
ここまで、仕事のできない人によく見られる特徴を紹介してきました。
一つひとつを見ると、それぞれ別の問題のように思えるかもしれません。しかし、これらには一つの共通点があります。
それは、周囲からの信頼を少しずつ失っていることです。
例えば、
- 同じミスを繰り返す人は、「品質への信頼」を失います。
- 報告・連絡・相談が遅い人は、「情報共有への信頼」を失います。
- 指示されるまで動かない人は、「自律性への信頼」を得られません。
- 約束や期限を守れない人は、「約束への信頼」を失います。
- 周囲との関係をこじらせる人は、「協働への信頼」を失います。
- 振り返りをしない人は、「成長への信頼」を得られません。
もちろん、一つの失敗だけで信頼を失うわけではありません。
しかし、同じ行動が繰り返されることで、「この人に任せても大丈夫だろうか」という不安が生まれます。そして、その不安が積み重なると、重要な仕事を任せることができなくなります。
本人は「評価されない」「チャンスが与えられない」と感じるかもしれません。しかし、組織が見ているのは能力だけではありません。
安心して仕事を任せられるか。
この一点が、評価や配置、昇進に大きく影響します。
仕事ができる人とは、周囲から信頼され、安心して仕事を任せられる人です。
信頼を失う行動は是正する
周囲の信頼を失う行動が見られた場合、組織運営において大切なのは、確実に指導を行うことです。これは、主に直属の上司の役割です。
行動を指摘しなければ、その社員は、その行動に問題がないと考えて、改善が行われません。
大切なのは、その行動が起こった時点で、速やかに指摘することです。
また、ここでは、行動そのものにフォーカスすることが大切です。行動だけを見て、「能力が低い」「育成しても無駄だ」と結論づけるべきではありません。
人材マネジメントでは背景を見る
一方、人材マネジメントでは、異なる見方が必要になります。
例えば、同じ「報告が遅い」という行動でも、経験不足なのか、仕事の進め方に問題があるのか、職場環境に原因があるのかによって、対応は変わります。
人材マネジメントでは、行動を観察し、その背景を理解した上で、その人に合った育成や配置、評価を考えることが重要です。
「仕事ができる人」と「仕事ができない人」に分類することではありません。
人材マネジメントも、一次対応は直属の上司が行います。しかし、指導を行っても、改善が見られないことは珍しくありません。
この場合、直属の上司と連携して、その上司、あるいは人事部、経営層が対処にあたります。
経営者や管理職に求められるのは、人を評価するだけではなく、その人の行動から本質を読み取り、組織全体の成果につなげていくことです。
まとめ
「仕事のできない人」という言葉は、安易に使われることが少なくありません。
本記事でお伝えしたかったのは、人を批判したり、能力を決めつけたりすることではありません。
仕事ができない人には、共通した行動パターンがあります。そして、その行動は、周囲からの信頼を少しずつ失い、「安心して仕事を任せられない」という評価につながります。
一方で、その行動がなぜ起きているのかは、人によって異なります。
経験不足なのか、仕事の進め方に課題があるのか、それとも配置や職場環境が影響しているのか。行動だけでは、その背景までは分かりません。
だからこそ、経営者や管理職には二つの視点が求められます。
一つは、組織運営の観点から、信頼を損なう行動を見逃さず、適切に指導することです。
もう一つは、人材マネジメントの観点から、その行動の背景を理解し、一人ひとりに合った育成や配置、評価につなげることです。
人を見るとは、性格や能力を決めつけることではありません。
社員の日々の行動を丁寧に観察し、その背景を考えることです。
これこそが、管理職の大切な役割の一つです。
その積み重ねが、社員一人ひとりの成長につながり、結果として組織全体の成果にもつながっていきます。
「仕事のできない人」とラベルを貼ることよりも、「信頼される行動とは何か」という視点で人を見ることが、経営者や管理職に求められる大切な役割だと思います。
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