社長の「やってみよう」に社員が反応しない理由|挑戦する会社をつくるために必要なこと

「これからは、今までと同じことを続けていてはいけない」
市場環境や顧客ニーズの変化を感じ、新しいサービス、新しい仕組み、新しい取り組みに挑戦しようと考える経営者は多いのではないでしょうか。
そして社長として、社員にも前向きにチャレンジしてほしいという想いから、
「まずはやってみよう」
と声をかけることがあります。
しかし、思いがけず社員の反応が鈍いことがあります。
会議で意見が出ない。
誰も手を挙げない。
「検討します」という返事で終わる。
このような状況になると、
「社員には挑戦する気持ちがないのではないか」
と感じてしまうかもしれません。
しかし、社員が動かない理由は、単純に意欲の問題とは限りません。
そこには、社長と社員では見えている景色が違うという背景があります。
社長と社員では、見ている景色が違う
社長は、会社の未来を見ています。
新しい取り組みが成功した場合の可能性や、将来の成長を考えています。
「この事業が軌道に乗れば、会社はさらに成長できる」
「社員にとっても新しい経験になる」
そのような前向きなイメージを持っています。
一方、社員が最初に考えることは、少し違います。
「今の仕事と両立できるのか」
「自分たちの力で本当にできるのか」
「失敗した場合、どうなるのか」
という現実的な問題です。
これは、社員が後ろ向きだからではありません。
日々、現場で仕事をしているからこそ、具体的な課題が見えているのです。
社長は「可能性」から考え、社員は「実現可能性」という視点から考える。
この違いを理解することが、新しい挑戦を進める第一歩になります。
新しい挑戦を始める前に、社長が理解しておきたいこと
新しいことに挑戦する時、社長が理解しておくべきことがあります。
それは、新しい取り組みでは、予期せぬことが必ず起こるということです。
今までやってきた仕事であれば、経験や知識があります。
「こうすればうまくいく」
「この場合は、この方法で対応する」
という判断基準があります。
しかし、新しい領域では、その基準自体がありません。
どれだけ事前に計画を立てても、実際に始めてみると、
「想定していたより時間がかかる」
「必要な知識や能力が足りない」
「お客様の反応が予想と違う」
「社内調整に思った以上の時間がかかる」
といった問題が起こります。
これは、担当者の能力不足とは限りません。
むしろ、新しいことに取り組んでいるからこそ見えてくる問題です。
企業が成長していくためには、既存事業を強化することと、新しい領域に挑戦することの両方が必要です。
しかし、新しい領域では、これまでの成功パターンがそのまま通用するとは限りません。
そのため、優秀な社員であっても、
「これまでのやり方では解決できない」
という壁にぶつかることがあります。
大切なのは、問題が起こらないようにすることではありません。
問題が起きた時に、
「なぜできなかったのか」
「誰の責任なのか」
と担当者を追及するのではなく、
「何が分かったのか」
「どうすれば乗り越えられるのか」
を考える組織にすることです。
だからこそ、社長には覚悟が求められます。
「やってみよう」と言うならば、
「簡単ではないことも分かっている」
「途中で問題が起こることも想定している」
「その責任は会社が引き受ける」
という姿勢を示すことが大切です。
社員が挑戦できる会社をつくるために社長がすべきこと
では、社員が新しい挑戦に踏み出せる会社にするためには、社長は何をすればよいのでしょうか。
なぜ今、この挑戦をするのかを伝える
社員を動かすために必要なのは、「何をやるか」だけではありません。
「なぜ今、それをやるのか」
を共有することが重要です。
例えば、
「新しいサービスを始める」
という説明だけでは、社員は不安を感じます。
しかし、
「今、お客様のニーズが変化している。このままでは将来的に競争力が落ちる可能性がある。そのため、今から小さく試していきたい」
という背景まで伝えれば、社員は挑戦の意味を理解できます。
社長の判断の背景が分かることで、社員は単なる指示ではなく、会社の未来に関わる取り組みとして捉えられるようになります。
社員の不安や懸念を受け止める
社員から、
「難しいと思います」
「今の人員では厳しいです」
と言われた時、それを否定する必要はありません。
むしろ、その中には重要な情報が含まれています。
現場だから見える問題もあります。
大切なのは、
「できない理由を探すな」
ではなく、
「どこが難しいと思うのか」
と聞くことです。
社員の不安を解消することは、挑戦を止めることではありません。
挑戦を成功させるための準備になります。
挑戦の失敗を、個人の責任にしない
新しいことに取り組めば、失敗は起こります。
計画通りに進まないこともあります。
しかし、その失敗を、
「担当者の能力不足」
「なぜできなかったのか」
という形で個人の責任にしてしまうと、社員は次から挑戦しなくなります。
必要なのは、結果責任をなくすことではありません。
挑戦したこと自体を責めないことです。
失敗から何を学び、次にどう改善するか。
その経験を会社の財産にできるかどうかが、挑戦する組織をつくるポイントになります。
挑戦する会社は、社員が安心して挑戦できる会社
会社を成長させるためには、社長自身が新しいことに挑戦する姿勢が必要です。
しかし、社長の熱意だけでは社員は動きません。
社員が動くためには、
「なぜやるのか分かる」
「難しさを理解してくれている」
「失敗しても会社として支えてくれる」
という安心感が必要です。
挑戦する会社とは、社長が強いリーダーシップで社員を引っ張る会社だけではありません。
社員が、
「やってみよう」
と思える環境をつくっている会社です。
その環境を整えることこそ、経営者に求められる重要な役割ではないでしょうか。
よろしければ、あわせてお読みください。





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