会議は何のためにやるのか

~問題発見と問題解決を分けるという発想~
「会議に多くの時間を費やしているのに、なぜか問題が解決しない」
そんな悩みを抱えている経営者の方は少なくないのではないでしょうか。
毎週の営業会議、部門会議、幹部会議。
多くの社員が集まり、資料を準備し、現状を報告する。
しかし、会議が終わった後も同じ問題が繰り返される。
気が付けば、社長が細かい案件まで把握し、判断し、指示を出している。
このような状態になっている会社は決して珍しくありません。
しかし、それは社員の能力や意欲の問題ではなく、「会議の役割」が曖昧になっていることが原因かもしれません。
今回は、会議の本来の目的について考えてみたいと思います。
会議の目的は「問題を発見すること」
多くの会社では、会議を「何かを決める場」と考えています。
もちろん、それも会議の重要な役割の一つです。
しかし、組織運営の観点から考えると、会議の最も重要な役割は「問題を発見すること」にあります。
顧客からのクレームが増えている。
特定の商品が売れなくなっている。
離職の兆候が見られる。
部署間の連携がうまくいっていない。
こうした問題は、早く発見できれば対処できます。
しかし、発見が遅れれば遅れるほど、解決にかかるコストは大きくなります。
経営者にとって本当に怖いのは、問題があることではありません。
問題が見えていないことです。
見えていれば対処できますが、見えていなければ手を打つことすらできません。
だからこそ会議には、現場で起きていることを共有し、組織の課題を早期に発見する役割があります。
なぜ会議は「社長への報告会」になるのか
ところが、多くの中小企業では、会議が問題発見の場ではなく、「社長への報告会」になっています。
その背景には、経営者として会社全体を把握したいという思いがあります。
これは悪いことではありません。
むしろ責任感の強い経営者ほど、会社の状況を正確に把握しようとします。
しかし、その思いが強くなりすぎると、会議の目的が少しずつ変わっていきます。
現場の問題を共有するための会議が、社長へ報告するための会議になる。
問題を議論する時間よりも、状況を説明する時間の方が長くなる。
参加者も増え、資料も増え、会議時間も長くなる。
こうなると、会議は問題を解決する場ではなく、情報を集める場になってしまいます。
もちろん経営者は安心できるかもしれません。
しかし、その代償として、幹部や管理職は「考える人」ではなく、「報告する人」になってしまいます。
問題発見と問題解決は別の仕事
ここで重要なのは、「問題発見」と「問題解決」を分けて考えることです。
多くの会社では、この二つを同じ会議の中で行おうとします。
現場の状況を報告し、その場で原因を分析し、その場で対策を決め、その場で進捗確認まで行う。
結果として会議は長くなり、参加者も増えます。
しかし、問題発見と問題解決では求められるものが異なります。
問題発見の段階では、多くの情報が必要です。
現場で何が起きているのか。
どんな課題があるのか。
どんな変化が起きているのか。
こうした情報は、できるだけ広く集めた方が良いでしょう。
一方で、問題解決の段階になると話は変わります。
採用がうまくいかない。
若手社員が定着しない。
利益率が低下している。
部署間の連携が悪い。
こうした問題は、参加者が多ければ解決できるものではありません。
必要なのは、その問題に責任を持つ人たちが集まり、原因を分析し、具体的な行動を決めることです。
つまり、問題発見と問題解決では、会議の目的も参加者も異なるのです。
問題解決の会議は少人数の方が機能する
問題解決のための会議に必要なのは人数ではありません。
責任です。
誰が担当するのか。
いつまでに行うのか。
どのような成果を目指すのか。
これを決められる人が参加していれば十分です。
むしろ参加者が多すぎると、
「誰かが考えるだろう」
「誰かがやるだろう」
という状態になりやすくなります。
また、発言しない参加者が増え、議論が発散しやすくなります。
実際、組織の重要課題ほど、少人数の方が深く議論できます。
重要なのは、その課題に責任を持つメンバーが本気で考えることです。
問題解決とは、参加人数の問題ではなく、責任の問題なのです。
会議を変えることは幹部を育てること
会議の役割を見直すことは、単なる業務改善ではありません。
組織づくりそのものです。
社長がすべての問題を把握し、すべての判断を行う会社では、最終的に社長しか育ちません。
幹部は報告することに慣れますが、問題を解決する力は育ちにくくなります。
一方で、問題解決を幹部に任せる会社では、幹部が考え、判断し、実行する機会が生まれます。
もちろん、最初からうまくいくとは限りません。
失敗もあるでしょう。
しかし、幹部が育つ過程で失敗は避けて通れません。
その経験こそが幹部を育てます。
ボトムアップ型の組織とは、現場の意見を何でも採用する組織ではありません。
現場で発見された問題を、幹部が受け止め、解決し、組織として前進させる仕組みを持った組織です。
その意味で、会議のあり方は組織のあり方そのものと言えるでしょう。
まとめ
会議の目的は、全員で長時間話し合うことではありません。
まず問題を発見すること。
そして発見した問題を、責任を持つ人が解決すること。
この二つを分けて考えるだけでも、会議の質は大きく変わります。
もし会議が長くなっているのであれば、「誰に報告するのか」という視点ではなく、「誰が解決するのか」という視点で見直してみてください。
経営者がすべてを抱える組織には限界があります。
組織を成長させるためには、問題を共有する仕組みだけでなく、問題を解決できる人材と仕組みを育てることが必要です。
会議を変えることは、組織を変えることです。
もし幹部育成やボトムアップ型の組織づくりを目指すのであれば、まずは「会議は何のためにやるのか」を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

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