変われない会社は『人事評価』が昔のまま

「会社を変えたい」が、なぜ変わらないのか
「もっと主体的に動いてほしい」
「改善提案が出てこない」
「管理職が疲弊している」
「若手が育たない」
多くの中小企業で、このような悩みが聞かれます。
そこで、経営理念を見直したり、行動指針を作ったり、研修を実施したりする会社も少なくありません。
しかし、それでも現場はなかなか変わりません。
なぜでしょうか。
理由はシンプルです。
人は「理念」ではなく、「何を評価されるか」によって行動するからです。
どれだけ立派な理念を掲げても、実際には、
- 夜遅くまで残っている人
- トラブル対応をする人
- 属人的に仕事を回せる人
が高く評価されていれば、組織は自然とその方向へ進みます。
組織文化とは、「評価される行動」の積み重ねなのです。
逆に言えば、会社を変えたいのであれば、「何を評価するか」を変えなければなりません。
実際、多くの中小企業では、経営環境が変わっているにもかかわらず、人事評価だけが昔のままになっています。
そこに、組織が変われない本質的な原因があります。
昔の人事評価が、今の組織問題を生み出している
かつての日本企業では、「エース社員」が組織を支えていました。
市場が伸び続けていた時代であれば、
- とにかく頑張る
- 長時間働く
- 個人の力量で乗り切る
という働き方でも、一定の成果が出ました。
しかし現在は、環境変化が速く、人材不足も深刻です。昔と同じ働き方では、組織が持続しません。
にもかかわらず、多くの会社では、今でも次のような人が評価されやすい傾向があります。
- 属人的なエース
- トラブル対応に追われている人
- 夜遅くまで残業している人
- 「自分でやった方が早い」と抱え込む人
一見すると、会社に貢献しているように見えます。しかし、この評価軸には大きな問題があります。
例えば、「トラブル対応する人」が評価される会社では、トラブルが減りません。
なぜなら、「再発防止」より「対応したこと」が評価されるからです。
また、「何でもできるエース社員」が評価される会社では、仕事が属人化します。
すると、
- ノウハウが共有されない
- マニュアル化が進まない
- 若手が育たない
- 管理職候補がいない
という状態になります。
さらに、管理職もプレイヤー化します。
結果として、
- 管理職が疲弊する
- 若手が育たない
- 属人化が進む
- 組織が回らなくなる
という悪循環が発生します。
これは、個人の能力や意識の問題ではありません。
「そう行動した方が評価される」という、評価制度の問題なのです。
会社を変えたければ、「評価される行動」を変える
会社を変えたいのであれば、まず変えるべきは「評価される行動」です。
例えば、これからの時代に必要なのは、
- 改善
- 再発防止
- 仕組み化
- 育成
- チーム成果
- 生産性向上
といった行動です。
つまり、「個人が頑張る組織」ではなく、「仕組みで成果を出す組織」への転換が必要なのです。
ここで重要なのは、
「何を評価するか」ではなく、
「会社として、何を増やしたいか」
という視点です。
例えば、
- 長時間労働を評価すれば、残業は増える
- トラブル対応を評価すれば、トラブルは減らない
- 個人プレーを評価すれば、属人化が進む
逆に、
- 改善を評価すれば、改善提案が増える
- 育成を評価すれば、教える文化ができる
- チーム成果を評価すれば、協力が増える
組織は、評価制度の方向へ進化します。
人事評価制度は単なる「査定」ではありません。
会社の行動様式を決める、極めて重要な経営インフラなのです。
まず変えるべきは「管理職評価」
特に見直すべきなのが、管理職評価です。
多くの会社では、管理職に対して、
- 売上
- 現場対応
- トラブル処理
- プレイヤー能力
ばかりを求めています。
その結果、「優秀なプレイヤー」は増えても、「優秀な管理職」は育ちません。
本来、管理職の役割とは、
- 部下を育てる
- 再現性を作る
- チームで成果を出す
- 属人化を防ぐ
- 改善を回す
ことです。
しかし、管理職自身が「自分でやった方が評価される」と感じていれば、部下育成より、自分で抱え込む行動を選びます。
これは、本人の意識の問題ではなく、制度の問題です。
そのため、まずは管理職評価において、
- 育成
- 権限移譲
- 改善活動
- チーム成果
- 生産性向上
などの比重を高める必要があります。
また、個人評価の割合を下げ、チーム評価を高めることも重要です。
管理職が「自分の成果」ではなく、「チーム成果」で評価されるようになれば、組織の動き方は大きく変わります。
5.人事評価制度は「設計」より「運用」で決まる
ただし、人事評価制度は、単に作れば機能するものではありません。
実際には、「制度設計」より、「現場で運用されること」の方が重要です。
人事評価制度の見直しは、次のような流れで進める必要があります。
1.経営課題の整理
まず重要なのは、
- 今、組織で何が問題なのか
- どんな組織にしたいのか
- 何を増やしたいのか
を明確にすることです。
ここが曖昧なままでは、評価制度も機能しません。
2.等級設計
次に、「役職名」ではなく、「期待される役割」を整理します。
例えば、
- 一般社員
- 主任
- 管理職
それぞれに対して、
- 何を求めるのか
- どんな成果を期待するのか
を明確にする必要があります。
3.評価軸の設定
ここで重要なのは、
「何を評価するか」ではなく、
「何を増やしたいか」
という視点です。
例えば、
- 改善
- 育成
- チーム成果
- 仕組み化
など、会社として増やしたい行動を評価対象にしていきます。
中小企業では、評価項目を増やしすぎないことも重要です。
4.評価レベルの設定
評価項目は、できるだけ具体化する必要があります。
例えば「主体性」であれば、
- レベル1:指示待ち
- レベル3:自ら改善提案を行う
- レベル5:周囲を巻き込み改善を推進する
というように、行動ベースで定義します。
抽象的な表現のままでは、評価は属人的になってしまいます。
5.実装
最後に、
- 評価シート
- ワークフロー
- 権限設定
- 面談運用
などを整備し、現場へ落とし込みます。
最近では、HRテックを活用する企業も増えています。
評価履歴や面談履歴を蓄積することで、「なんとなく評価」を減らし、評価の透明性を高めることが可能になります。
ただ、本当に重要なのは、導入後です。
- 評価者訓練
- 評価のばらつき調整
- 定期見直し
を継続しなければ、制度は形骸化します。
人事評価制度は、「作ること」より、「定着させること」の方が難しいのです。
まとめ:会社は、評価制度の方向に進化する
「会社を変えたい」
そう考える経営者は少なくありません。
しかし、理念やスローガンだけでは、人の行動は変わりません。
人は、「評価される方向」に動きます。
つまり、
- 何を評価するか
- 誰を評価するか
- どんな行動を増やしたいか
によって、組織文化は決まります。
もし今、
- 管理職が疲弊している
- 若手が育たない
- 属人化が進んでいる
- 改善文化が根付かない
という課題があるのであれば、それは「人」の問題ではなく、「評価制度」の問題かもしれません。
会社は、評価制度の方向に進化します。
だからこそ、会社を変えたいのであれば、まず「人事評価」を変える必要があるのです。

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